会社で– category –
会社であった怖い話
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休憩室の椅子
私が勤める「三條システム開発」のオフィスビルは、築30年を超える古い建物だった。会社自体は10年前にこのフロアに引っ越してきたが、前の会社が残していった家具をそのまま使っている部分も多い。特に3階奥にある小さな休憩室には、妙に場違いな一脚の椅... -
社長はもういない
退勤前にパソコンの電源を落とそうとした矢先、チャットアプリの通知音が鳴った。 「今日の企画書、もう一度見直してくれ。明日の取引先との打ち合わせに間に合うように」 差出人は、三ヶ月前に亡くなった森田社長だった。 私は画面を凝視し、自分の目を疑... -
エレベーターの9階ボタン
その会社に入社して半年が経っていた。名前は鈴木貴之。28歳。IT関連の中小企業で、システムエンジニアとして働いている。会社のビルは8階建てで、うちの会社は5階から8階までを借りていた。 入社当初から気になっていたことがあった。社内には「深夜残業... -
午前四時の来訪者
佐伯健太は、総務部に配属されて三ヶ月目の朝、いつものようにオフィスの勤怠管理システムのチェックから一日を始めた。新入社員でありながら、勤怠管理を任されるようになったのは、彼のまじめな性格と几帳面さが評価されたからだった。 モニターに映る表... -
複写される影
残業が長引き、オフィスには私一人だけが残っていた。資料の作成が終わり、あとはクライアントへの提出書類をコピーするだけ。時計は午後11時を指していた。 普段なら昼間に済ませる作業だが、明日の朝一番のミーティングに間に合わせるには今夜中に終わら... -
隣の席
私が配属された部署の隣の席は、いつも空いていた。 入社して三ヶ月、総務部の片隅に与えられた私の机の隣には、誰も座っていなかった。パソコンはあるし、筆記用具も置かれているのに、人の気配はない。 「あそこは佐藤さんの席です」と課長は言った。「...
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