怖い話– category –
投稿まとめ
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フォロワー
新しいSNSアプリ「Echo」は瞬く間に人気を集めていた。他のSNSと違い、Echo上のアカウントは実名登録必須で、投稿した内容は24時間後に自動削除される。「本音を言える場所」という謳い文句が若者の心を掴んでいた。 私もその波に乗り、アカウントを作った... -
三階の個室
私が勤める中学校の三階にある女子トイレの最奥の個室は、なぜか誰も使わない。 赴任して一ヶ月が経った頃、同僚の佐藤先生から「あそこだけは使わないほうがいい」と忠告された。理由は聞いても「気にしないでください」と言うばかり。校舎は築40年と古い... -
影の主
毎日同じ時間に家を出る。毎日同じ歩道を通る。毎日同じように会社に向かう。そんな平凡な日常が、あの日から変わり始めた。 最初に気づいたのは、かすかな足音だった。カツン、カツン。自分の足音とわずかにずれて聞こえる。振り返ってみても、そこには誰... -
終電の客
夜11時45分、最後の電車が駅に滑り込んできた。疲れ果てた俺は、空いている席に座り込んだ。窓の外は真っ暗で、自分の顔が薄っすらと映っている。 車内には他に3人しかいなかった。向かいの席には年配のサラリーマン、車両の端には学生らしき若者、そして... -
放課後の窓際
私が赴任した中学校は、郊外の小さな町にあった。築40年を超える校舎は随所に古さを感じさせるが、生徒たちは明るく元気だ。新任教師として3年2組の担任を任された私は、初めての教壇に立つ緊張と期待で胸が一杯だった。 着任から一週間が経ち、学校の雰囲... -
湯気の向こう側
引っ越して三日目の夜、私は新居のお風呂に初めて浸かった。仕事の都合で単身赴任になり、築30年のアパートを借りたのだ。風呂場は古いながらも、大家さんが去年リフォームしたらしく、浴槽は新しい。 湯気の立ち上る風呂場の照明は少し暗めで、タイル張り... -
五本目の電信柱
私が引っ越してきたのは、都会から車で三時間ほど離れた小さな町だった。仕事はリモートワークになり、思い切って自然の多い場所で暮らしてみたかったのだ。 家は町の外れ、田んぼと山に囲まれた一軒家。最寄りのコンビニまで車で十分ほどかかる。夜になる... -
終わりなき道程
「もう三時間も同じ道を走っている」と佐藤は呟いた。助手席の妻・美香は眠ったままだ。後部座席では六歳の娘・陽菜が携帯ゲームに夢中になっている。 佐藤家の夏休み旅行は、順調なはずだった。朝早く東京を出発し、山梨の温泉宿に向かう予定だった。ナビ... -
闇の先へ
携帯の画面に「圏外」の文字が点滅している。もう三十分ほど前から電波が途切れたままだ。いくら山道とはいえ、こんなに長く圏外になるのはおかしい。 「まだ着かないの?」助手席の彼女が不安そうに聞いてきた。 「もうすぐだよ。地図では、このトンネル... -
廊下の幽影
古い二階建ての一軒家に越してきて三ヶ月が経った。私は仕事の都合で地方から東京に引っ越してきたのだが、家賃の安さだけを理由にこの家を選んだことを、後悔し始めていた。 最初は気にならなかった。少し古い家具の軋む音、風が吹くと揺れる窓ガラスの音...