怖い話– category –
投稿まとめ
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闇の先へ
携帯の画面に「圏外」の文字が点滅している。もう三十分ほど前から電波が途切れたままだ。いくら山道とはいえ、こんなに長く圏外になるのはおかしい。 「まだ着かないの?」助手席の彼女が不安そうに聞いてきた。 「もうすぐだよ。地図では、このトンネル... -
廊下の幽影
古い二階建ての一軒家に越してきて三ヶ月が経った。私は仕事の都合で地方から東京に引っ越してきたのだが、家賃の安さだけを理由にこの家を選んだことを、後悔し始めていた。 最初は気にならなかった。少し古い家具の軋む音、風が吹くと揺れる窓ガラスの音... -
夜道の足音
深夜の帰り道、私は人気のない道路を歩いていた。終電を逃してしまい、タクシーを使うのももったいなくて、自宅まで歩くことにしたのだ。とはいえ、街灯はところどころしかなく、静まり返った道は妙に心細い。 スマホで音楽でも聴こうかとポケットに手を突... -
押し入れの中の気配
この部屋に引っ越してきたのは、ちょうど一週間前のことだった。古いけれど広めの1LDKで、家賃も手頃だった。唯一気になるのは、寝室にある大きな押し入れ。ふすまが古びていて、どこか不気味だった。 「まあ、使わなければいいか」 そう思い、私は押し入... -
リビングの違和感
夜中の2時、私はリビングのソファでうたた寝をしていた。仕事の疲れが溜まり、ベッドまで行く気力もなかったのだ。テレビは消えているが、スマホの画面がうっすらと明かりを放っている。ふと目を覚ました瞬間、違和感があった。 リビングの空気が妙に重い...