病院で– category –
病院であった怖い話
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血圧計の謎
深夜二時、聖心総合病院の四階内科病棟は静寂に包まれていた。新人看護師の田中美咲は、入職してまだ三ヶ月という緊張感を胸に、夜勤の巡回業務を行っていた。廊下の蛍光灯が一本置きに消され、薄暗い通路を歩く足音だけが響いている。 美咲は患者のカルテ... -
カルテに書かれた「×」
夜勤明けの疲れた瞳で、私は新たに渡されたカルテを眺めていた。研修医として赴任して三ヶ月、ようやく病院の空気に慣れてきたところだった。 「佐藤君、今日から担当してもらう患者さんだ」 循環器科の水野部長が差し出したのは、一般的なものとは少し異... -
退院したはずの人
私は都内の大きな総合病院で夜勤の看護師として働いて5年目になる。病院の夜は独特の静けさがある。昼間は忙しく動き回る医師や看護師たちも少なくなり、面会客もいなくなる。そんな静寂の中、時折聞こえる患者さんの咳や寝返りの音が、妙に鮮明に響く。 ... -
ナースコールが鳴る部屋
東京郊外の総合病院で夜勤の看護師として働く私、佐藤美咲は、この仕事を始めて3年になる。夜勤は大変だが、静かな時間帯に仕事をすることに慣れてきた。しかし、あの夜から私の日常は少しずつ歪み始めた。 その日は9月の肌寒い夜だった。午後11時を過ぎる... -
存在しない部屋からの呼び出し
夜勤は私の専門だった。小さな町の市立病院では、夜勤専門の看護師は貴重な存在で、他のスタッフからは感謝されていた。日中は子育てに専念し、夜は病院で働く。この生活リズムにすっかり慣れていた。 あれは去年の秋、木々が色づき始めた頃のことだ。いつ... -
深夜の見舞い
夜も更けて、病室の消灯時間を過ぎていた。窓の外は真っ暗で、時折雨粒が窓ガラスを打つ音だけが静寂を破っていた。 私は二週間前から、原因不明の高熱で入院していた。四人部屋の一番奥のベッド。窓際の位置だ。他の患者は皆、年配の方ばかりで、すでに眠...
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