外で– category –
外であった怖い話
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石になったあの子
夕暮れの公園で、ハルキとマナは最後のかくれんぼをしていた。 「もういーかい?」 ハルキの声が、薄暗くなった公園に響く。返事はない。いつものように、マナは最高の隠れ場所を見つけたのだろう。ハルキは苦笑いを浮かべながら、公園の遊具を一つずつ調... -
公衆電話
八月の午後二時。アスファルトから立ち上る陽炎が、視界を歪ませていた。営業先から駅へ向かう途中、私は汗でびっしょりになったシャツを気にしながら、古びた商店街の一角を歩いていた。 この界隈は再開発から取り残されたような場所で、シャッターを下ろ... -
射的屋の人形
夏祭りの喧騒が夜空に響く中、俺は射的屋の前で銃を構えていた。隣で友人の拓也が「もう十発も外してるじゃん」と笑っているが、俺の集中力は途切れない。狙いを定めているのは、店の奥の方に置かれた古びた人形だった。 他の景品とは明らかに異質なその人... -
花火の灯りに消えた少女
夏の夜の湿った空気が肌にまとわりついて、ミオは不快感を覚えていた。毎年恒例の地元の花火大会。高校二年生になった今年も、幼馴染のユキと一緒に河川敷に来ている。 「今年は去年より人が多いね」 ユキが浴衣の襟元を直しながら言った。確かに、川沿い... -
傘の忘れ物
その朝、空は鉛色に重く垂れ込め、今にも雨が降り出しそうな気配だった。田中健一は慌てて家を出たため、傘を持ってくるのを忘れていた。 駅のホームに降りると、案の定、ぽつぽつと雨粒が落ち始めた。健一は舌打ちをして、いつものベンチに腰を下ろそうと... -
消えたテントの仲間
夏休み最後の週末、私たち家族は奥多摩の湖畔キャンプ場で過ごしていた。父、母、私、そして小学校三年生の弟の大輝。都心の暑さから逃れるように選んだこの場所は、昼間でも涼しく、夜には肌寒いほどだった。 キャンプ場はそれほど大きくなく、湖に面した... -
出てこない缶
深夜一時過ぎ、美咲は図書館から重い足取りで帰路についていた。明日の卒論発表を控え、準備に追われて終電を逃してしまったのだ。夜道を一人で歩くのは不安だったが、タクシー代をケチってしまった自分を恨みながら、普段より早足で歩いていた。 住宅街の... -
覗き込む誰か
十一月の夕暮れ時、私は今日もいつものようにマンションの外階段を上がっていた。エレベーターが故障してから三週間。修理の見通しは立たず、十三階建ての九階にある我が家まで、毎日この薄暗い階段を使って帰らなければならない。 制服のスカートが冷たい... -
砂場の足跡
残業が終わったのは午前1時を回っていた。会社の飲み会をすっぽかした代償として、上司が無理難題の仕事を押し付けてきたのだ。タイムカードを押し、オフィスビルを出ると、冷たい風が頬を撫でた。11月も中旬に差し掛かり、東京の夜は冬の気配を帯び始めて... -
歩道橋の上の女
午後10時。私は毎日の帰宅ルートを歩いていた。この街れっきとした住宅街なのに、どこか不気味な雰囲気が漂う。特に、この古びた歩道橋は、夜になると余計に陰鬱な雰囲気を醸し出す。 最初に彼女に気づいたのは、二週間前のことだった。歩道橋の中央に、真...
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