外で– category –
外であった怖い話
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砂場の足跡
残業が終わったのは午前1時を回っていた。会社の飲み会をすっぽかした代償として、上司が無理難題の仕事を押し付けてきたのだ。タイムカードを押し、オフィスビルを出ると、冷たい風が頬を撫でた。11月も中旬に差し掛かり、東京の夜は冬の気配を帯び始めて... -
歩道橋の上の女
午後10時。私は毎日の帰宅ルートを歩いていた。この街れっきとした住宅街なのに、どこか不気味な雰囲気が漂う。特に、この古びた歩道橋は、夜になると余計に陰鬱な雰囲気を醸し出す。 最初に彼女に気づいたのは、二週間前のことだった。歩道橋の中央に、真... -
後ろを振り向いたら負け
雨上がりの山道は、足元が滑りやすく神経を使う。私たち四人は足を取られないよう慎重に下山していた。標高1800メートルの山頂からの帰り道、疲労と達成感が入り混じる心地よい疲れが体を包んでいた。 「もう少しで林道に出るはずだよな」と前を歩く友人の... -
微動
最初に気づいたのは三週間前のことだ。 毎朝、同じ時間に家を出て、同じ電車に乗り、同じ駅で降りて、会社まで歩く。そんな日々を五年続けてきた僕の生活に、ある日、小さな違和感が忍び込んだ。 駅前の駐輪場に停めてある僕の青い自転車が、いつもの位置... -
午後4時の公園
夕暮れが近づく住宅街。空は淡いオレンジ色に染まり始め、街にはどこか物憂げな空気が漂っていた。真新しいマンションと古い一軒家が混在するこの町に、私は転勤で引っ越してきたばかりだった。 妻と5歳の娘・美咲を連れての新生活。初めは不安もあったが... -
幻の線路
「この近道を使えば、十分ほど早く着くよ」 同僚の村上がそう言ったのは、残業後の深夜十一時過ぎだった。最終電車に間に合うかどうかという瀬戸際で、彼の提案に乗ることにした。会社の裏手から伸びる細い道は、確かに駅までの距離を縮めるはずだった。 ... -
消えた踏切
深夜の帰り道、いつも使う踏切を渡っていた。 時刻は午前2時を回っていた。会社の飲み会が長引いて、こんな時間になってしまった。普段なら絶対に使わない道だが、酔いが回って少しでも早く帰りたかった私は、近道の踏切を選んだ。 この踏切は昔から地元で... -
影の主
毎日同じ時間に家を出る。毎日同じ歩道を通る。毎日同じように会社に向かう。そんな平凡な日常が、あの日から変わり始めた。 最初に気づいたのは、かすかな足音だった。カツン、カツン。自分の足音とわずかにずれて聞こえる。振り返ってみても、そこには誰... -
五本目の電信柱
私が引っ越してきたのは、都会から車で三時間ほど離れた小さな町だった。仕事はリモートワークになり、思い切って自然の多い場所で暮らしてみたかったのだ。 家は町の外れ、田んぼと山に囲まれた一軒家。最寄りのコンビニまで車で十分ほどかかる。夜になる... -
闇の先へ
携帯の画面に「圏外」の文字が点滅している。もう三十分ほど前から電波が途切れたままだ。いくら山道とはいえ、こんなに長く圏外になるのはおかしい。 「まだ着かないの?」助手席の彼女が不安そうに聞いてきた。 「もうすぐだよ。地図では、このトンネル...
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