駅で– category –
駅であった怖い話
-
駅の階段
「また、いるな」 田中拓海は毎朝六時十分発の電車に乗るため、新宿駅の南口改札を通り抜ける。運転士見習いとして働き始めてから半年、この時間帯はいつも決まった人々が行き交う。サラリーマン、学生、清掃員。みんな急ぎ足で階段を昇り降りしている。 ... -
最終電車の乗客
私が心底恐怖を感じたのは、あの深夜の電車の中だった。 仕事の飲み会が長引き、気づけば終電間際。何とか駅のホームに滑り込んだ私は、滑り込むように最終電車に乗り込んだ。車内は予想通り閑散としていた。サラリーマンが二、三人、酔った様子で座席に座... -
売店の女
残業続きの月曜日、終電間際に滑り込んだ地下鉄はガラガラだった。私、佐藤雄一は人の少ない最後尾の車両に座り、スマホを眺めながら十五分ほどの帰路に就いた。 疲れ切った頭で会社のトラブルを反芻していると、あっという間に降車駅に到着してしまった。... -
繰り返す「駅メロ」
夜の帳が降りた東京の郊外、粟飯原駅は人気がなかった。最終電車が過ぎ去り、プラットフォームには私一人だけが立っていた。 「もう帰らないと」 そう呟いたその時、懐かしい旋律が耳に飛び込んできた。駅メロディ。一日に何度も流れる単なる合図のはずな... -
鏡の向こうの乗客
毎晩の残業で疲れきった私は、いつものように駅のホームで最終電車を待っていた。一日の終わりに、人混みが嘘のように静まり返った千代田線の駅は、蛍光灯のかすかな音だけが響く別世界のようだった。 その彼女を初めて見たのは二週間ほど前の木曜日だった... -
8番線のホーム
私が転勤で通うようになった大崎駅は、7番線までしかないはずだった。 初日、駅の構内図を見ながら確認した。1番線から7番線まで、すべて把握した。しかし、出勤から一週間が過ぎた金曜日の夜、残業で疲れて帰る途中、駅の案内表示が目に入った。「8番線 -... -
最終改札
新築の一人暮らしを始めた私にとって、最寄り駅は徒歩15分の「月影駅」だった。都心からは少し離れているが、静かな環境が気に入っていた。 ある日、残業で終電間際に駅に着いた。改札を通ろうとすると、駅員が声をかけてきた。 「お客さん、今日はもう最...
1